特集

〈3月号特集〉尾道デニムプロジェクトに参加!色落ちが語るストーリーを繋ぐ

Wink 編集部

お久しぶりです。2回目の登場、カメラマン・くわです。カッコつけたタイトルをつけてみましたが、事のはじまりは、ワガママボディになって履けなくなったデニムをさてどうしようか…というところから。しかしこのプロジェクトに参加し取材してみると、単に売るだけではない価値に気付くことができました。

前回のマンガ島の記事が好評価を受け(承認欲求はしっかり満たされました笑)、調子に乗って次なる企画書を提出。面白そう!と編集長から太鼓判をもらったので、早速尾道にて取材を決行。

尾道と言えば、全国有数の観光地ですよね。
海、猫、ラーメン、そして………デニム!!

そう、『ONOMICHI DENIM SHOP』 にやって来ました。

ここに来た理由は、約10年前にさかのぼります。
実は10年前、この店でデニムを購入し、「尾道デニムプロジェクト」に参加していたのです。

尾道デニムプロジェクトとは?

デニム生産量日本一の備後地方と、尾道という街の魅力発信を掛け合わせる形で、約13年前にスタート。新品のデニムを尾道で働く人々に穿いて育ててもらい、最終的にユーズドとして委託販売するというユニークな取り組み。
立ち上げ当初は、尾道で暮らす270人に2本ずつ配布し、1年間穿いてもらった540本のユーズドデニムを制作。その反響を受け、この活動を継続するべく店舗『ONOMICHI DENIM SHOP』を立ち上げた。現在は県内外からプロジェクト参加者が集まっている。

僕自身もプロジェクト参加者の一員として、数年間、本気で穿き込み、育てました。ただ、年齢を重ねるにつれスタイル維持が難しくなり……物理的に穿けなくなったため、今回、満を持して委託販売を決断。
※いや、甘えとか言わないで(涙)

店内に入ると、目の前にはユーズドデニムがずらり。それぞれに違った色落ち、ヒゲ、ハチノス。そこに刻まれているのは、ただの経年変化ではありません。尾道で暮らす人、働く人、そしてこの街に流れる時間そのもの。タグには「職業履歴」の欄があり、蒲鉾職人などの文字が…。

そう、それはまるで、布に残された生活の記録のようでした。

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今回は店長の元廣さんに、店やプロジェクトについてお話を伺うことに。

店長・元廣さん

元廣さん自身も、大学生の頃にこの店でデニムを購入したお客さんの一人。一度地元を離れて就職した後、まちづくりの仕事に興味を持ち、デニムを通して街を伝えるこのプロジェクトに惹かれたことで再び地元へ。今では店側の人として、デニムや街の魅力を発信することに努めているそうです。

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元廣さんの言葉が、とても印象的でした。

「デニムって、経年変化そのものが価値になる素材なんです。もともとは作業着なのに、穿いた人の生活や働き方が、そのまま生地に刻まれる。その人の人生がジーンズに残るって、すごく面白いと思うんです」

加工で作る色落ちもある。でも、自然に生まれるエイジングには、やっぱり敵わない。

「ただの古着ではなく、誰がどう穿いて、どう育ったか。そのストーリー込みで価値にする。それがこのプロジェクトの面白さです」

――参加していた身として、テンション爆上がりでした。ありがとうございます。

参加者は20代から、最高齢は80歳を超える漁師さんまで。例えば長靴で仕事をする人のデニムには、裾に独特のアタリが出ていたり。生活のクセが、そのままデニムに現れるのです。元廣さんが一本一本のストーリーを語る姿は、まるで美術品の解説のようでした。

  • 上のデニムが新品で、下が10年かけて育てた僕のデニムです。よく頑張ったと思います(笑)
  • 「日常着である以上、服は衣装ではなく道具である」をコンセプトに機能に追求した、ジャケット(37,400円)やオーバーオール(41,800円)も展開中。
  • ダブルニー仕様で耐久性に優れたモデル「ODP003」22,000円
  • マルチポケット付きの生地は軽めで、快適な履き心地の「ODP001」22,000円
  • ビンテージにこだわり、独特の毛羽立ちとザラツキ感が堪能できるリゾルトの「710」 27,500円~

ユーズド以外にも、色落ちを楽しめるワンウォッシュデニムも展開。

福山出身のデザイナーで国産デニム界の神様的存在でもある林芳亨さんの〈RESOLUTE(リゾルト)〉。そして、備後の生地 × 地元縫製 × 尾道の革パッチという、完全メイドイン備後のオリジナルデニムなども。生地が違えば、色落ちも変わる。ユーズドデニムを見ながら新品を選ぶのも、ここならではの楽しみ方です。

新品購入時、プロジェクト参加券(1,100円)を追加すれば、将来的に委託販売が可能。しかも、売れたら販売価格の70%が手元に返ってきます。

この仕組み、正直かなり面白い。

そして、いよいよ本題。僕の約10年モノのデニムを委託します。

穿き方、思い出、当時の生活。「あの時はあーで、こーで……」と雑談ベースでヒアリング。その後、販売用に洗濯(550円)。価格は後日連絡という流れです。

※やっぱり履き続けたいと思ったら、売却前であれば返却可能。こういうところも買取とはまた違った良さです。

そして2週間後。

元廣店長「販売価格ですが……46,200円(税込)です」

オフィスで無音ガッツポーズ…!実際に売れれば、70%の32,340円が僕の手元に戻ってきます。※状態によって変動あり

デニムに刻まれていたのは色落ちではなく、生活であり、時間であり、ちょっとした人生でした。

いくらになるか、だけじゃない。「次は誰の時間を刻むのか」。それを想像できるのが、尾道デニムプロジェクトの一番の魅力なのではないでしょうか。

新品を育てる楽しさ。誰かの物語を受け取る感慨深さ。それが、尾道の街とちゃんと繋がっている。そしてそこからまた、新しい物語が始まるのです。

…僕のワガママボディの話を忘れるくらい、いい締めになりましたね(笑)。

INFORMATION

ONOMICHI DENIM SHOP(オノミチ デニム ショップ)

営業時間
11:00~18:00
定休日
火・水、年末年始
住所
尾道市久保1-2-23
電話番号
0848-37-0398
駐車場
なし
公式HP
https://www.onomichidenim.com/
SNS

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